温浴施設の現場において、最も尊く、そして最も得難い経営資源は何かと問われれば、私は迷わず「現場を支える人」だとお答えします。
機械や設備は資金をかければ導入できますが、施設のオリジナルなサービス、居心地の良さ、そして安全と衛生を守り抜くオペレーションは、すべて生身の人間の手によって保たれているからです。
では、温浴施設の経営者や支配人が求めるスタッフとは、一体どのような人材でしょうか。
現場の声に耳を傾けると、主に四つの要素に行き着きます。
一つ目は、複数のポジションや職種を柔軟にこなせるマルチタスクな人です。フロントで明るくお客様をお迎えしたかと思えば、浴場の巡回やサウナマット交換に走り、熱波をやり、ピーク時には飲食のサポートまで目を配る。手が空いた時にはSNSの運用や在庫管理発注。
時間帯や混雑状況に応じて臨機応変に動けるスタッフは、まさに現場の要です。
二つ目は、出勤できる日数が多く、一度決まったシフトをしっかりと守れる人です。温浴施設は年中無休、長時間の営業が基本です。
シフトのキャンセルや当日欠勤が頻発すると、現場の運営は一気に崩れ、他スタッフの負担につながってしまいます。
三つ目は、自分も温浴が好きで温かみのある良い接客ができる人です。裸と裸の付き合いである温浴施設では、形式的なマナー以上に、お客様の心に寄り添う自然な笑顔や顧客目線の気配りが価値を持ちます。
そして四つ目は、腰を据えて長く勤めてくれる人です。業務を覚えて現場の流れを把握し、常連客の顔を覚えて信頼関係を築くには一定の時間がかかります。不慣れな新入りと長く勤めているベテランスタッフではその生産性は何倍も違うことでしょう。
しかし、いざ採用活動を始めようと求人広告会社や人材採用エージェントに相談すると、彼らから返ってくるアドバイスは全く異なる論理であることが少なくありません。
「今の売り手市場では、マルチタスクなどと書くと難しそうで応募者が敬遠してしまいます。まずは簡単な受付作業や清掃とだけ書きましょう」
「シフトの融通を利かせないと人が集まりません。週1日、1日3時間からOKにして、応募の間口を広げましょう」
「未経験歓迎、誰でもできるお仕事、と打ち出してまずは母集団を形成しましょう」といった具合です。
こうした提案を真に受けて募集条件を緩め、求人を出してしまった経験はないでしょうか。
確かに応募の通知は届くかもしれません。面接の数も増えるでしょう。しかし、そこに罠があります…
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これからの温浴施設経営に活かせる学びを共有します。
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