温浴施設の休憩スペースで、館内着姿の利用者が漫画の並ぶ本棚の前で漫画を読んでいるイラストに、「それは集客につながるの?」の見出しと検索画面が描かれている

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「お風呂が楽しみで、漫画も読みたい」。秋元さん自身は、そんな温浴施設の利用者でした。ところが、スパコミックでアンケートを始めると、自分以上に漫画を目当てにしている人たちが見えてきたといいます。

施設の本棚を調べ、検索できるようにした、その先へ。今回は、運営者としてぶつかった壁と、利用者の声を受けて生まれた工夫を伺います。

利用者の便利さと、施設が求めるもの

【アクトパス原田】

立ち上げ当初、どのようなところで苦労されたのでしょうか。

【スパコミック秋元さん】

もっと早く、いろいろな施設に広がっていくつもりだったんです。でも、施設の方から聞かれたのが、「それは集客につながるの?」ということでした。

僕は利用者の立場で、「便利になる」「スムーズに漫画を探せる」ということを重視していました。一方で、施設としては、費用をかけるなら、それによって何が変わるのかを知りたいわけですよね。

施設側の目線を知って、来店のきっかけになっているのか、数字でも確かめたいと考えるようになったんです。

【アクトパス原田】

その過程で、事業としての手応えを感じた出来事もありましたか。

【スパコミック秋元さん】

一つは、厚木健康センターさんのような、非常に漫画の多い施設を掲載できたことです。「ここができたなら、ほかでもできるだろう」と思えました。

もう一つが、コミックレンタルの「春うららかな書房」さんとの協業です。興味を持っていただき、お試しで取り組むところから、正式な契約につながりました。

そして最近は、アンケートなどを通じて、漫画の情報が来店のきっかけになっているという手応えを得られるようになったこと。この三つが、自分の中では大きな節目ですね。

【アクトパス原田】

漫画をレンタルする会社との協業では、スパコミックはどんな役割を担うのでしょうか。

【スパコミック秋元さん】

この協業には、大きく三つの狙いがあります。

一つ目は、施設のスタッフさんの手間をできるだけ少なくして、漫画の情報を掲載することです。春うららかな書房さんから毎月、各施設のデータをまとめていただき、こちらで一括登録しています。

二つ目は、お客様が読みたい漫画と、施設の本棚をつなぐことです。漫画を管理するスタッフさんが検索データを見て、施設内や商圏内でどんな作品が探されているかを確認できます。漫画に詳しくない方でも使いやすいと、好評をいただいています。

三つ目は、導入のしやすさですね。新しいサービスを入れるには、契約や経理の手続きもあります。その点、毎月のレンタル費用にスパコミックの利用料を加える形なら、導入しやすくなります。

【アクトパス原田】

掲載の手間だけでなく、本棚づくりや導入の仕組みまで支えているのですね。

【スパコミック秋元さん】

そうですね。春うららかな書房さんも、もともとこうした機能を実現したいと考えていたそうです。

そのうえで、利用者は読みたい漫画がどの施設にあるかが知りたい。施設が購入した漫画も、ほかの会社からレンタルしている漫画も、まとめて探せるようにしたい。第三者の立場で取り組む意味は、そこにあると思っています。

スパコミック利用者に聞いてみた

【アクトパス原田】

スパコミック利用者へのアンケートは、どのように始めたのですか。

【スパコミック秋元さん】

きっかけは、アクトパスの望月啓子さんから「アンケートを取ってみたらどうか」と言っていただいたことでした。それを受けて、2026年6月から始めました。

スパコミック内の施設紹介ページで、漫画のリストの下に質問を表示しています。四つの質問のうち一つをランダムに出して、そのページを見た方に答えていただく仕組みです。

どの施設のページで回答されたかも分かるので、全体を見るだけでなく、施設ごとに見たり、漫画の冊数で分けたりもできます。

※以下は、スパコミックの施設紹介ページを閲覧し、任意で回答した方の結果です。温浴施設の来館者全体を対象にした調査ではありません(集計:2026年6月19日〜10月6日/全4問合計2,967回答・396施設)。

【アクトパス原田】

スパコミックを利用している方に聞くと、どんな結果が見えてきたのでしょうか。

【スパコミック秋元さん】

まず、「漫画を目的として温浴施設に行ったことはありますか?」では、回答してくださった方の7割が「ある」でした。まだないけれど、読みたい漫画があれば行きたいという方も、2割ほどいました。

ただ、僕が一番驚いたのは、次の「この店舗を利用するとき、漫画はどのくらい目的になっていますか?」という質問です。

「漫画が主な目的」という回答が、半分以上あったんですよ。

僕自身は、「温浴が主な目的だけど、漫画も楽しみにしている」という方なんです。だから、自分が考えていた以上に、漫画そのものを楽しみにしている人がいるんだなと感じました。

【アクトパス原田】

漫画が何万冊もある、大きな施設だけの話なのでしょうか。

【スパコミック秋元さん】

冊数ごとに分けても、漫画を目的にしているという回答は出ているんです。僕が見た範囲では、回答割合の傾向が大きく違うわけではありませんでした。

冊数が多い施設の方が回答も多いので、その点はありますが、少ない冊数の施設でも、漫画を楽しみにしている人がいるんですよね。

読みたい作品が、次の行き先につながる

【アクトパス原田】

スパコミックの情報を見て、実際に出かけたという声もあるのですか。

【スパコミック秋元さん】

はい。「スパコミックで読みたい漫画がこの店舗にあるとわかったら、来店のきっかけになりますか?」とも聞いています。

その質問では、「実際にそれがきっかけで行ったことがある」という回答が4割ほどありました。

逆に、「読みたい漫画がこの店舗に見つからなかった場合、来店意欲は変わりますか?」とも聞いています。「行く可能性が下がる」「ほかの店舗も探す」という回答が多かったんです。

だったら、読める別の施設をご案内した方がいい。そう考えて、ほかの施設を提案する仕組みにつなげました。

【アクトパス原田】

検索で見つからなかったところで終わらず、次の行き先が見つかるのですね。

【スパコミック秋元さん】

そうです。掲載プランに応じて、探している漫画を読める別の施設を紹介し、そのページに進んだ方に来店意向も聞いています。

「初めて行く」という回答もありますし、過去に行ったことのある施設に「また行く」という回答もあります。漫画をきっかけに、施設選びが動く可能性を感じています。

〈アンケートの主な回答〉

・漫画目的で温浴施設に行った経験がある:70.0%。未経験だが、読みたい漫画があれば行きたい:22.3%(928回答)。

・その施設を利用する主な目的が漫画:51.9%。温浴が主目的だが漫画も楽しみ:42.7%(780回答)。

・スパコミックで読みたい漫画があると知り、それがきっかけで行った経験がある:41.8%(577回答)。

・読みたい漫画が見つからないと、行く可能性が下がる:72.3%。ほかの店舗も探す:17.2%(682回答)。

※来店経験は回答者の自己申告です。

※紹介先の施設ページでの任意回答は「初めて行く」20.0%、「また行く」12.0%、「前向きに検討」46.8%(2026年9月5日〜10月4日)。実際の来店数ではなく、今後の意向です。

▼アンケートの詳しい結果はこちら(随時更新)
https://spacomic.com/lp/manga-survey-report

※本文の数値は取材時の集計です。

「あの施設で、何が読める?」を調べる人たち

【アクトパス原田】

利用する方は、最初からスパコミックを知っているのでしょうか。

【スパコミック秋元さん】

そうとは限りません。施設紹介ページに入ってくる経路を見ると、検索エンジンやAIからが半分くらいあります。

例えば「施設名 漫画」と調べて、「あの施設では何が読めるんだろう」と来る方もいるわけです。スパコミックの中で漫画から探す方や、施設の公式ホームページから来る方もいます。

※施設紹介ページへの流入の49.5%が検索エンジン・AI経由でした(2026年9月6日〜10月5日)。

* * *

すでに本棚にある一冊も、その存在が伝われば、誰かが出かけるきっかけになる。スパコミック利用者の回答には、作品を確かめながら行き先を選ぶ人たちの姿が表れていました。

「漫画がたくさんあります」に、読める作品の情報を添える。利用者にはうれしい案内であり、施設の方には、今ある本棚の魅力を届ける工夫でもあります。

では、行った先で、楽しみにしていた漫画を気持ちよく読めるでしょうか。

最終回は、欠けた巻や新刊の管理から、食事やボディケアとの連携まで。漫画と一緒に楽しむ温浴施設のこれからを伺います。
(ハラダ)

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