支配人の不安

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　以前、グランドオープン日を目前に控えた施設の支配人が不安そうに聞いてきました。

「これからお客様に言われるのは、どんな苦情が多いのでしょうか？」

私は笑いながら、「お客さんはお湯が熱いとかぬるいとか、それぞれ勝手なことを言いますから、事前に想定するのは無理ですよ。」と答えました。

これは突き放しているわけではなくて、本当にそうなのです。

何を言われるか分からないのに事前に想定問答集は作れません。支配人にできることは、何が起きても、何を言われてもたじろがず、逃げずに対応する胆力を持つことです。

温浴施設はひとりでも多くのお客さまにご納得、ご満足いただけるように日々環境整備に努めているのですが、それでも全ての人を満足させることなどできません。

個人の考え方や感性は千差万別ですが、自分の考えだけが正しいと勘違いしてクレームを言ってくるような人もいるので、「お客さまは神様」と卑屈になる必要はありません。施設としてのポリシーや判断基準を毅然と示すことも必要なのです。

施設としてのポリシーや判断基準というのは、ひとつひとつのことについてよく調べ、考えて出した結論のことです。

・浴槽の湯温は何度に設定するのか。
・湯の安全衛生を保つためにどのような技術や薬品を使うのか。
・水風呂に潜って良いのか。
・浴室でお喋りして良いのか。
・なぜこの料金にしたのか。
・なぜこの営業時間にしたのか。
すべてそう決めることになった理由があるはずです。

それがお気に召さないのであれば、他の施設へどうぞ。

そう言えるくらいの確信を持って仕事に臨みたいものです。

ところが、温浴施設の経営というのは、あまりにも複雑であらゆる分野に及んでおり、支配人や経営者がひとりで全てを把握できているとは限らないのも現実です。

確信を持って現場に立つためにも、自施設の経営・運営方針について、おさらいする機会があればと思っていたところ、(一社)ニッポンおふろ元気プロジェクトが「支配人養成講座」を開催してくれることを知りました。
https://nippon-ofurogenkipj.com/interact

いったん開業してしまえば、日々現場に追われて、改めて勉強したり振り返ったりする機会を確保するのはなかなか難しいところでもあると思います。

「支配人養成講座」という名称になっていますが、支配人候補者や新米支配人だけでなく、ベテラン支配人にもおすすめの講座です。
(望月義尚)

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