NEWJAPAN SAUNA

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今日は 2022年2月17日です。

言霊

ニュージャパンサウナの本音

 その昔、といっても25年前くらいのことですが、大阪なんばにあったニュージャパンサウナの幹部の方が愚痴をこぼしていました。

「サウナという言葉が持つマイナスイメージだけはどうにもならない」と。

当時ニュージャパンサウナが取り組んでいたサウナ事業は、それは素晴らしいものでした。

スタッフひとりひとりの成長と幸福を考え、その舞台としての温浴設備はお客様の満足のために見えないところにまで多額の投資をかけ、日々接遇と技術と環境のレベルアップに取り組んでいました。

それでも、サウナという言葉が持つマイナスイメージは根強く、サウナ業はなかなか世間に理解してはもらえない仕事、という時代だったのです。

当時の都市型サウナといえば、繁華街にあって酔っ払いのおじさんと柄の悪い人たちが行っているところ。酒とタバコと石鹸の混ざった匂い。「この顔にピンときたら110番」のポスターが貼ってある…そんなイメージがつきまとっていました。

それらを払拭したくても、一企業の努力だけでどうにかできるものではなかったのです。

公益社団法人日本サウナ協会が、2006年に『日本サウナ・スパ協会』と名称変更した背景には、スパという言葉が持つ、新しくてお洒落なイメージを取り込みたい、そんな意図もあったのだろうと思います。

弁護士さんも女優さんも

 ほんの5年前のことですが、HCJ2017(国際ホテルレストランショー)のテルマエJAPANセミナーで、「激論!どうなる日本のサウナの未来」というテーマのパネルディスカッションを企画したことがあります。

司会に林 和俊氏(横浜鶴見おふろの国店長)、パネリストは長家広明氏(弁護士・プロサウナー)、木地本朋奈氏(トリリオン・温浴設備関係会社社長)、清水みさと氏(サウナヘビーユーザー・タレント)、中村敏之氏(アクアプランニング・温浴施設企画設計会社社長)という顔ぶれ。

このパネルディスカッションでひとつの結論を見出そうとか、何かを提言しようとしていたわけではありませんが、強いて言えば業界関係者の枠を超えたバリエーションのある顔ぶれを集めることで、弁護士さんも女優さんもサウナが好きなんだよ、ということを発信したかったのです。

清水みさとさんは、たまたま立ち飲み屋で一緒になった人たちとサウナの話で盛り上がっている時に、毎日のようにサウナに通っている女優さんがいるということを聞きつけて、きっとその人だったら酔っ払いと柄の悪い人たちが集まるサウナのイメージを払拭してくれるんじゃないかと思って、ネットで検索して所属事務所と交渉し、登壇してもらえることになったのでした。

その後みさとさんはサウナ界のミューズと呼ばれるようになり、今もサウナのイメージアップに大いに貢献していただいています。ありがたいことです。

言霊

 古来より日本では「言霊」といって、口にする言葉には霊力が宿っていると信じられてきました。以前の「サウナ」には言霊といっても呪縛のようなマイナスイメージがつきまとっていたのですが、今は若い人も女性も有名人も、皆が楽しむボジティブなイメージを持つ言葉に変わりました。

長い年月をかけて、多くの人がサウナという言霊に少しずつ新しい力を加えてきたのです。もう簡単に逆行するようなことはないだろうと思います。

空前のサウナブームといわれる今、もしなんばのニュージャパンサウナが残っていたらどんなことになっていたのか…それを考えると、寂しいような悔しいような、何とも言えない気持ちがよぎります。

サウナ事業を営む皆さまも、サウナを楽しむ皆さまも、「サウナ」という言霊がマイナスに向かわないよう、大切に愛でながら、もっと大きく育てていただきたい、と願っています。

そういえば…

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