「アクトパスクラブ」会員の皆様、
今日は 2023年1月4日です。
注目の業界ニュース
【インボイス制度、飲食店の34.2%が準備を開始】
https://www.inshokuten.com/research/magazine/article/54?ref=foodist
インボイス制度の開始まで1年を切った今、改めて注目したいのが「税金」。
一般的に温浴施設よりも事業規模が小さい飲食店でも、節税は重要テーマと考えられています。
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2023年温浴ビジネスの展望(1)
新年明けましておめでとうございます。
昨年は一年間あまりにも忙しい日々だったので、年末年始は特に何もせずのんびり過ごしながら、これから先のことにぼんやりと思いを巡らせていました。
2019年末からの新型コロナウイルス感染症の流行による世界的な危機的状況となって丸3年が経過するもなお終息が見通せず、さらに2022年はウクライナの軍事衝突、エネルギーをはじめとする物価上昇、急激な円安、災害や異常気象…昨年はあまりにも不安定な経営環境に翻弄され続けた一年だったかと思います。
これからどうなっていくのか、どう対策すべきなのか。温浴施設専門コンサルティングという超ニッチな世界の仕事に明け暮れる私なりに、年初にあたって感じている2023年のキーワードを書きとめておきたいと思います。
1.人材確保
このキーワードは決して新しいものではなく、温浴業界でも以前から懸案材料となっていたことですが、昨年はかつてないほど「人がいなければサービス業はどうにもならない」ということを痛感させられた一年でした。
・募集しても必要なスタッフ人数が確保できない
・人手が足りないから、リーダー幹部クラスの社員がオペレーションに入らざるを得ない
・業績アップのための戦略があり、やるべきことが明確になっていても、そこに取り組む人手とスキルが足りない
・スキルとモチベーションのある人に業務負担が過剰に集中して現場が疲弊
このような状況は、多かれ少なかれ今ほとんどの温浴施設に共通している現象なのではないかと感じるほど、人材不足が温浴業界共通の問題として顕在化してきました。
元々、温浴ビジネスには装置産業的な側面がありますので、人材よりもハード投資を優先する考え方が主流でした。運営に関してはできるだけ省力化、無人化を進めることで経営効率を高めてきたのですが、その考え方がもう完全に限界を迎えているということです。
そこにコロナ禍での雇用調整、最低賃金の上昇、円安による外国人就労者の減少などが拍車をかけ、このままでは温浴施設で働こうという人を十分に確保することはできない時代なのです。
ハードやシステムがいくら立派でも、それを運営するスタッフの力がなければ、威力を発揮することもできません。装置が重要であることは当然ですが、それ以上に温浴ビジネスの本質は「人が人によって癒される」、サービス業なのです。
人材確保のためにすべきことは、決して特別なことではありません。
・企業としてのビジョンや志を示す
・共感してくれる人を積極的に募集採用する
・労働の価値に見合った評価と報酬を設定する
・現有スタッフを大切に育成し、戦力化する
これらは、あらゆる業界の企業が常に取り組んでいることですが、温浴業界でこれができている施設はまだ少数派と言えます。
これからは、ハードやシステムだけではなく、ビジョンや志がさらに問われる時代となっていくでしょう。
能力のある方、人財となり得る方ほど、その企業の本質を見抜こうとします。単に、フロント係、清掃係を募集しても他の企業と時給で比較されるだけです。お客様や社会に何を提供しようとしているのか?スタッフには何を体験し、実現して欲しいのか? 給与以外に得られるものは何なのか? それをどのように浸透させていくのか?
これを真剣に考えていない施設は人材確保の競争に勝つことは難しくなりそうです。
戦略的にハードに投資してきたことと同じように、人に投資しようという決断をして動き出さない限り、人材の問題は解決できません。過去のマネジメントの慣習や温浴業界の常識を棄てて、切り替えることができるのは経営者自身。そこが問われています。
2.競争から共生へ
このキーワードも他の業界では特に新しいものではありません。恩師舩井幸雄は、90年代から「競争は善ではない、21世紀には競争がなくなる」と教えてくれていました。
しかし、これまでの温浴業界では同じマーケットを似たようなコンセプトで奪い合い、強者だけが生き残るような競争の時代が長く続いてきました。
成功ノウハウは独占秘匿し、競争相手の足を引っ張れば、自分の得になるという感覚もありました。
しかし、コロナ禍が温浴マーケットの大幅な減少をもたらし、同じマーケットを奪い合っているだけでは共倒れになるだけという現実を目の当たりにさせられることなりました。
一方で、従来とは違う独自のコンセプトを追求したり、地域で連携して単独施設ではできないような仕掛けをすることが、新しいマーケットの創造をもたらすということが徐々に理解されるようになってきたのがこの数年だったと思います。
このような変化を温浴業界にもたらしたのは、「サウナの愛し方は人それぞれ」と言って、ランキングや評点という考え方を排除したサウナイキタイの影響も大きかったと感じています。
弊社でも、かつては「競合店に勝つため」のマーケット調査を行っていましたが、今は「競争を避け、独自固有の長所を伸ばすため」の調査提案を行うようになっています。
今後は「サ旅」「巡り湯」「合同サウナイベント」「施設オリジナルグッズの商品化」といった動きがますます活発化していくことになるでしょう。
これからが楽しみです。
3.サウナブームの行方
この数年間、
「サウナブームが過熱していますが、すぐに廃れてしまうのでは?」
「いえ、サウナは昨日や今日ぽっと出てきたものではありませんし、習慣性が強いですから、一度サウナの魅力に取りつかれた人はずっとそのままですよ。」
というやりとりを…
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