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今日は 2022年2月7日です。
◆露天風呂は水です
夏の暑さを吹き飛ばすためのイベントとして、「冷やし温泉」「冷やし露天風呂」を開催する事例を見かけるようになりました。
小冊子「サウナブームの風に乗る」でも、滋賀県の北近江リゾートさんの取り組みをご紹介しています。通常は40度以上に加温して湯として提供している露天の岩風呂を、加温をやめて冷やし露天風呂として提供したのです。
https://aqutpas.co.jp/sauna-business-guide-book/
それまでの常識や決め事を捨てて新しい取り組みをする時には、お客様だけでなく実行する現場側にも心理的抵抗が生じます。
それを払拭するために、あくまでもテストとして試しにやってみることにして、冷やし露天風呂を実施する際には、浴室内アンケートをとってお客様の意見を聞きました。
「冷やし露天風呂が気持ちいい」「今まで通りの温かい方が良い」「もっと冷たい方がいい」の三択をマグネットで投票してもらう方式で、実際に冷たい温泉を喜ぶお客様が多数派であることを確認した上で、正式に夏のイベントとして実行したのです。
結果は好評でしたし、夏のうだるような暑さの中での集客にも少しはプラスになったのではなかろうかと思います。
小冊子で紹介もしたことですし、来年の夏は冷やし露天風呂を実行する施設がもっと増えるだろうな、と思っていました。
そんな考えも、まだ頭が固かったようです。
昨日から調査で東北地方に来ているのですが、ある温浴施設の店頭に私の既成概念をぶち壊すPOPが貼ってありました。
「露天風呂は水です。」
は???
今年は大雪で、周囲は一面の銀世界。そんな寒い時に露天風呂が水ってどういうこと?と混乱しました。
入浴しつつ、露天風呂に手をつけてると、本当によく冷えています。周囲の地面が凍るほどの冷え込みで、岩風呂の水温も間違いなくひと桁台でしょう。そのままではとても入れそうにありません。
しかし、その露天にはサウナ小屋を増設されていました。簡素な手作りの小屋で、収容人数は4人くらい。中には水掛け可能な電気のサウナストーブが鎮座していて、桶とラドルもおかれています。
マニアックなサウナファン対象のサウナ小屋です。店頭のPOPは、このサウナでしっかり温まって、露天の水風呂に入れというメッセージだったのです。
仰せの通りにサウナ小屋で温まり、冷たい露天風呂に入ることができました。雪景色の中で、屋外の冷たい水風呂に入り、外気浴で身体からもうもうと湯気を立てるのは素晴らしい体験でした。
このやり方は面白い!と身体ごと実感しました。
「真冬の露天風呂が水風呂」という非常識を突きつけられれば、誰だってそこに違和感を持ち、関心が向きます。いったい誰がどうしてそんなものに入るのかと感じ、それを嬉々として実行している人たちの姿を見れば、サウナというものに興味を持つ強烈なきっかけになるはずです。
自宅の風呂では決して味わうことのできない体験です。
くどくど説明するよりも、有無を言わさない説得力・啓蒙効果があります。
さらに言うと、一般的に寒冷地での露天風呂からの放熱は、水光熱費を圧迫します。冬場は燃料代が大きく跳ね上がってしまう施設が多く、「冬季は露天風呂閉鎖中」としている温浴施設がたくさんあります。
せっかく持っている露天風呂空間や設備を活かせなくなっていたのです。
これまで、寒冷地の冬季露天風呂をどうやったら使えるようにするかということについては、ずいぶん知恵を絞ってきました。
湯に浸かったまま露天に出れる動線設計、風よけ、地面の凍結防止、滑り止め、ヒーティングなど、あの手この手で対策を講じてきたのですが、決め手に欠け、そこまで手間とコストをかけるくらいなら閉鎖した方が賢明、という判断になっても仕方のないところでした。
しかし、発想を切り替えれば…
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