スパプラザの万華鏡

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今日は 2022年3月12日です。

感謝しかない

・万華鏡のお告げ

 眠っている間に見る夢を毎日覚えているわけではありませんが、夢の中でも温浴の仕事に関する何かが出てくることが多く、朝起きると、その事柄を考えてメルマガのネタにすることもよくあります。

今朝起きた時に憶えていたのは、ニュージャパンなんばのスパプラザにあった万華鏡でした。

クリーン(座りアカスリと洗体)が終わった後の休憩ソファセットのところにいくつか、さりげなく置かれた万華鏡。

あれは中野憲一社長(当時)の趣味で、手作りの万華鏡なのですが、サウナ後のボーっとした状態であれを見ていると、まるで宇宙に引き込まれていくかのような、不思議な感覚になるのでした。

夢の中の前後のストーリーはまるで覚えていなかったのですが、今朝の夢にあの万華鏡が出てきたのは間違いなく、そこからニュージャパンサウナのことを考え始めました。

長い間顧問を務めさせていただき、毎月のように大阪に通った仕事ですから、思い出は尽きないのですが、このメルマガに書いておくべきことは何だろう?と考えていると、まだクリーンサービスについて詳しく書いていなかったことに気づきました。

いまや三助や座りアカスリのサービスを提供している温浴施設は全国に数えるほどしか残っていませんので、ニュージャパンのクリーンも、大切な文化遺産として記録しておきたいと思います。

・スパプラザのクリーン

 入館→脱衣→足洗いから始まり、サウナ→水風呂→外気浴を何セットか繰り返し、30分ごとの高頻度ロウリュサービスも堪能し、すっかりととのってから「ひとやすみ」というラウンジで休んでいると、自分のロッカー番号が呼び出されていることに気づきます。

スパプラザは『トコロテン方式』と呼ばれるワンウェイのサービスになっていて、入浴からクリーン、トリートメントへと順番に巡っていくという特異な業態の施設です。後にも先にも、トコロテン方式の温浴施設は日本で唯一無二の存在でした。

呼び出しを無視してもっと長時間入浴したり、ひとやすみでトロけまくっていてもいいのですが、いつかは呼び出しに応じて、ラウンジからクリーンをする第2の浴室に向かいます。

クリーンサービスが行われる洗い場

この瞬間は少し緊張します。クリーンは別名「ロシアンルーレット」とも呼ばれていて、自分の担当として出迎えてくれるのがどのセラピストなのか、その場で出会うまで分からないのです。若い美女のこともあれば、自分の母親よりも大先輩になることもあります。どちらであっても違う意味で緊張感があるのです。

弾丸が入っている確率が高いロシアンルーレットの儀式を済ませると、「サウナパンツを脱いでください」と言われます。セラピストは小さいフェイスタオルで脱衣するところをさりげなく目隠ししてくれます。

そしてフェイスタオルを渡され、第2の内湯の中に進んでいくと、「身体冷えてる?しっかりぬくもってくださいねー」と大浴槽前に案内され、しゃがむよう促されます。桶でお湯を二杯、三杯とかけてもらい、熱めの湯にしばらくつかります。

セラピストはこちらを見ていて、湯から上がると「こちらへどうぞー」と洗い場へ案内してくれます。促されて大きい腰掛けに座ると、小さく畳んだフェイスタオルと交換してくれます。そのタオルで股間を隠せという意味です。そしてシャワーでお湯をかけ、アカスリが始まります。左腕から右腕、脇、首筋、背中、腰、胸、腹…と上半身を隅々まで丁寧に。

そしてシャンプーとコンディショナー。ここで使われているアメニティのブランドはヒートエナジーなのですが、2003年に東京でLaQuaが開業した時に、「LaQuaではヒートエナジーを置いていました。最高級店として負けてはいられませんからスパプラザでも置きましょう!」と進言してアップグレードしてもらったことを思い出します。

スパプラザのアメニティ

洗体はヘチマを使うのですが、「ヘチマは固いの、普通、柔らかいの、どれにします?」と好みを聞き、石鹸をつけて全身をきれいに洗い流してくれます。股間だけは自分で洗うよう、石鹸をつけたフェイスタオルを手渡されます。

「歯磨きしますか?」「おヒゲ剃りますか?」とも聞かれます。歯磨きするというと、いつも歯ブラシからはみ出るくらいの歯磨きペーストをニュルリと乗せて手渡されます。つけ過ぎだと思うのですが、それも贅沢さの演出だったのかも知れません。

かかとの角質取りもやってくれます。これも至れり尽くせり感をさらに強化しようと私が進言して採用されたサービスでした。

ひと通りが終わると、最後にまたお湯をかけてもらい、もう一度浴槽へ。「あちらのシャワーのところでお待ちしていますね」と言われ、しばらく浴槽で温まってからスタンディングのシャワーブースに向かいます。

勢いの良い全身シャワーを浴びさせてもらってから、タオルで全身の水滴を拭いてもらいます。「前はご自分でお願いします」と、また新しいタオルを渡されます。

身体を拭き終わって新しいサウナパンツを履くと、背中に化粧水をつけてくれます。これも「化粧水はクール系か保湿系どちらにしますか?」と聞いてくれます。

そして、最後に1枚の小さい紙を手渡されます。クリーンセラピストのサービスを評価するアンケート用紙です。「秀・優・良・可」の4段階評価のいずれかに〇をつけ、ひとことメッセージを書く欄もあります。ここにはいつも感謝のメッセージを書いていました。「感謝しかない」とはこういうことを言うのだと思います。

アンケートを投函して進んだ先にあるのが、件の万華鏡が置かれたソファ。

ロシアンルーレットから万華鏡まで15分。これがスパプラザのクリーンサービスの全工程です。

・サービス業の本質

 なんばのニュージャパンサウナが閉店してからまもなく3年が経とうとしています。万華鏡が夢に出てきたのは、たぶんハード先行やスペック勝負に向かいがちな温浴業界に、自分の中で危機感が高まっているからなのでしょう。

クリーンサービスはわずか15分の工程でしたが…

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