歴史ある木造建築の道後温泉本館の正面玄関前を歩く観光客の人々。

世界一の温浴大国としての日本の立ち位置を考えるシリーズの最終回です。

第1回では世界の温浴3大潮流と「おもてなし」の本質について、第2回ではデータと歴史的背景から、日本の温浴の本質が「圧倒的な大衆性と日常性」にあることをお話ししました。

今回は、さらに歴史を深く遡りながら現代の新たな動きにも目を向け、私たちが名実ともに世界の温浴を牽引する存在であり続けるための条件について、少し長くなりますがまとめてみたいと思います。

日本の温浴の歴史をさらに深く紐解くと、そのルーツは驚くほど古く、なんと縄文時代にまで遡ります。

日本各地の縄文遺跡、例えば長野県の湯の瀬遺跡などからは温泉を利用していたとみられる痕跡が見つかっており、古代の先祖たちは火山の恵みである自然の湯に浸かり、狩猟の傷を癒やし、厳しい自然への感謝を捧げていたと考えられています。

神話の時代や『古事記』『日本書紀』にも、道後温泉や有馬温泉、白浜温泉といった古湯が登場し、神々や天皇が湯治を行った記録が鮮明に残されています。日本における入浴は、西洋のような医療的管理やフィンランドのような特定の生活習慣とも異なる、大自然の恵みをそのまま享受して心と体を調えるという、日本人の精神性の原点とも言える心地よさの追求でした。

傷ついた動物が湯で癒やされているのを見て開湯したという全国の「開湯伝説」も、人間が自然の一部として湯と共生してきた証拠です。

このように、古来より外来の文化を柔軟に取り入れ、自らのものとして昇華させていくのが日本のお家芸ですが、その最たる現代の例がサウナにおける「アウフグース」でしょう。

ドイツ発祥のこの文化ですが、今や日本国内におけるアウフギーサー(熱波師)の人数やその熱狂度は、本国を凌ぐ勢いで世界一の規模に達していると言われています。

全国各地で熱波の技術やエンターテインメント性を競う大会が開催され、プロの熱波師がタオル一枚で何百人ものお客様を魅了し、感動の涙を流させるほどの文化へと昇華しています。

海外から入ってきたサウナという文化を、ただ真似るだけでなく、またたく間に独自の大衆エンターテインメントや強固なコミュニティへと進化させてしまうこの圧倒的なダイナミズムこそ、日本の温浴市場が持つ底力であり特長なのです。

では、この縄文から続く圧倒的な歴史と、現代のアウフグースに見られる熱狂的な熱量を持つ日本が、名実ともに世界の温浴大国として輝き続けるためには、これから何が必要なのでしょうか。

私は、これからの温浴施設経営において、非常に重要となるポイントが…

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