有馬温泉太閤の湯のサウナ室

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今日は 2022年3月2日です。

独占か共有か

(1)ロハスの記憶

 「ロハス」という言葉を見聞きしたことがあるかと思います。ロハスとは、LOHAS/Life Of Health And Sustainableの頭文字をとったもので、1990年代にアメリカで生まれた概念です。

日本でも2000年代初頭から注目されはじめ、エコロジーやスローライフといった意識を包括的に表現する新しい言葉として広がりを見せました。

2005年には専門紙「日経MJ」の『上半期ヒット商品番付』において「西の大関」にも選ばれてます。

ところが、それまでロハスブームを牽引してきた雑誌「ソトコト」を出版する株式会社トド・プレスと三井物産が「ロハス」を商標登録し、言葉を無断使用したメーカーと商標権侵害を争うような問題が起きたことで、ロハスに共感していた人たちに水を差すこととなりました。

結果的に、トド・プレスと三井物産は他社から商標使用料を取ることを諦めるようになるのですが、ロハスという言葉は使いづらくなり、今ではスーパーホテルが使っているのを見るくらいです。

時代の流れもあり、現在はより上位概念であるSDGsがLOHASの代わりによく使われるようになっていることを感じます。

商標登録は法的に正当な行為ですが、それが世間の反感を買ってしまったのは、ロハスと言う言葉がトド・プレスや三井物産が生み出したクリエイティブな造語ではなくて、海外で生まれ外来語として入ってきただけだったことと、一般的な概念として共感が拡がっている言葉なのに特定企業がその権利を独占しようとしているように映ったからでしょう。

ロハスはひとつの例ですが、それまでに業界内外の多くの方が培ってきた概念を、商標登録ひとつで独占できるものではないと思います。

固有名詞や自社完全オリジナルでない限り、ひとつの概念をビジネス化するのは商品開発力、広報力、販売力、アフターフォローなどの企業努力の総合的な結果です。

それまでに業界内外の多くの方が培ってきた概念を、商標登録ひとつで独占できるものではないと思います。ロハスも、商標登録がなければ、より社会に受け入れられ、ビジネス全体もさらに大きく広がっていった可能性があったのかも知れません。

特定企業の権利となってしまうことで、その企業が持つ力以上には大きくなれないということにもなってしまったように思います。

(2)アクトパスは共有主義

 昨年、有馬温泉太閤の湯でサウナ室に耐熱・熱交換式の換気システムを導入するお手伝いをしました。太閤の湯を経営する有馬ビューホテル、アクアプランニング、そしてアクトパスによる共同開発で実現し、そのプロセスはメルマガ記事の10回シリーズで公開しました。
https://club.aqutpas.co.jp/?p=3367

入谷社長が名付けた「熱波対流・イノベーションサウナ」は、半年以上経過した現在も問題なく稼働し、エネルギーを節約しながらサウナ室に新鮮で温かい空気を送り込み続けています。

コロナ禍が長期化する中で、徹底的な安全対策を考えたい、という施設が増えています。先日もこれから開業する大型フィットネス施設でサウナの換気強化を検討していて有馬温泉太閤の湯の記事に辿り着いたということで、ご相談を受けました。

今のところ、まだサウナ室の耐熱・熱交換式の換気問題を解決する製品が登場していませんので、また個別対応で弊社がお手伝いすることになるかも知れません。

そのフィットネス施設のご担当の方から、「この熱交換システムは特許出願をしないのですか?」と聞かれました。

メルマガ10回シリーズの記事の最後に

──今回、このメルマガで換気システムの開発プロセスを詳らかに書いたのは、この情報をこれからのサウナの安全性や快適性の向上に役立てて欲しいと思うからです。

見切り発車と現場調整でどうにか目標性能には到達しましたが、これはまだプロトタイプであり、改良の余地は多々あると感じています。

とはいえ、有馬温泉太閤の湯は温浴施設。アクトパスは温浴経営コンサルタント。アクアプランニングは温浴施設企画設計。本来、空調設備や電気製品の開発といったことは専門ではありません。

ここから先へ進んでいくためには、もっといろいろなケースの導入現場と専門知識が必要となるでしょう。次のチャレンジャーために、第一歩目の記録として残しておきます。──

日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで

と書きました。

特許出願して他者の動きをけん制してしまったら、かえってサウナ換気の改善スピードは遅くなってしまうかも知れません。それでは誰も幸せになれないと思うのです。

特に現場によって…

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