
私は長い間、「雨が降ると温浴施設の客数は増えるもの」だと信じていました。実際、これまでご支援してきた多くの施設で、雨天の日は晴天時よりも来客が多い傾向があったからです。
ところが最近になって、その常識がすべての施設に当てはまるわけではないことを実感しました。車でのアクセスが中心で、駐車場から館内までほとんど濡れずに入れる施設では確かに客数が増えます。しかし、徒歩客が多く、駅から少し距離のある立地では、逆に1〜2割も来客が減ってしまうことがあるのです。
つまり「雨の日に強いかどうか」は、立地やアクセスの条件によって大きく異なります。にもかかわらず、私たちはつい「温浴施設=雨の日に強い」という一般論で語ってしまいがちです。
温浴施設の開発においては、立地条件や市場環境、そして自社の経営資源を正確に把握しながら、戦略を構築していくことが何より大切です。アクトパスではその考え方を整理するために、マーケティング戦略を以下の4つの要素に分けています。
・商圏戦略(どこの市場を狙うのか)
・ターゲット戦略(どんなお客様を主対象とするのか)
・グレード戦略(価格帯や体験価値をどのレベルに設定するか)
・差別化戦略(他施設との違いをどこに打ち出すか)
この4つを組み合わせていくことで、「いつ、どこの、誰に、何を、どのように提供するか」という、事業全体のストーリーが一貫性をもって形づくられます。
さて、ここで改めて考えたいのが…
注目の業界ニュース
【観光の次の10年、中小企業とスタートアップが主役に】
https://yamatogokoro.jp/report/58187/
2024年の訪日客数は3687万人に達し、観光業は次の発展段階に向かいつつあるとされています。記事では、今後10年の観光を動かす鍵として中小企業(SMEs)やスタートアップの役割に注目。地域限定旅行業の増加や体験型観光の広がりを背景に、「地域旅行ビジネス」が重要なテーマとして紹介されています。
温浴施設も地域に根ざした体験を提供する事業として、新たな観光の担い手の一つとなることが期待されます。