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Do you know "KAKEYU"?(2)

 第2336号「Do you know "KAKEYU"?(1)」、インバウンド対応の英語表記の話の続きです。

前回は「外気浴」や「温泉」の翻訳について書きましたが、実はもっと翻訳するのが困難な温浴用語があります。

それは「かけ湯」です。

今どきの温浴施設では、浴室に入ってすぐのところにかけ湯槽や湯壺などが設置され、そこでまず全身に湯を浴びてから浴室を利用する構造になっています。

かけ湯が設置されるようになった最大の理由は、公衆衛生です。服を脱いで大浴場に向かい、いきなり浴槽にドボンとされては湯が汚れてしまい、皆が気分よく入浴することができなくなります。

昔、家に風呂がないことが普通だった時代は、銭湯で脱衣室から浴場に入ると、まず洗体のための洗い場が迎え受ける構造でした。浴室面積の手前側半分以上を洗い場コーナーが占め、その奥に浴槽があるので、先にしっかり洗体することが前提のつくりだったのです。

しかし、時代が変わり自家風呂が普及すると、洗体という行為は必ずしも第一目的ではなくなってきます。洗い場で身体を洗うという順番を飛ばして浴槽に浸かろうとする人もいて、それならせめて浴槽の湯を汲んで身体を流そう、という公衆衛生マナーが必要になったのです。

浴槽に入る前に、周囲に水が掛からないようにしゃがみつつ湯を手桶で汲み、自らにかけ湯するという一連の所作は、自分の身体をキレイにする目的と共に、私はちゃんと汚れを流してから入りますよ、という周囲の人へのメッセージにもなっているのでした。

もうひとつは熱い湯に徐々に身体を慣らしてから浴槽に入ることで、心臓や血管に急激な負担がかかることを避けるという意味合いもあります。

これらは、自家風呂でも浴槽に湯をためて家族で入る場合は同じことですので、昭和生まれの人なら、かけ湯は親から子へ入浴のマナーとして躾けらた記憶があるのではないでしょうか。

しかし、ユニットバスや給湯器の進化とともに、西洋風にシャワーだけで済ませる入浴スタイルが増えていきます。そうなるとかけ湯という習慣はそれほど必要でなくなってしまうのです。

そして時代の移り変わりとともに、新しくできる温浴施設では洗体のための洗い場が小さくなって隅に移動し、その変わりに浴槽やサウナなどの温浴設備が多彩なバリエーションを持つようになっていきます。

すると、いきなり浴槽にドボン行為が横行してしまいますので、その対策として浴室入口にかけ湯が設置されるようになったのです。

そのような歴史的背景とともにある浴室入口のかけ湯ですが、日本人でもその意味を知らずに省略してしまう人がたくさんいますので、ましてや日本の温浴施設を初めて利用する外国人には想像もつかないことでしょう。

ですので、「かけ湯」とGoogle翻訳に入力しても翻訳してくれず"Kakeyu"と返ってきます。
「掛け湯」と漢字を使うと"Sprinkling hot water"と出ますが、これも意味不明です。

いったいこの問題をどうしたら良いんだ?と再びリーサル・ウェポンに聞いてみました。


私 前から悩んでいるのが、浴室入り口にある「かけ湯」。そもそも外国人には概念がない。
姉 うー。これは難しい。考えてみるからしばらく待て。
  えっとさ。掛け湯の次はどうなるの? 日本語ではどうなってる?全体の流れを日本語でどう表現しているのか教えてくれ。
私 「かけ湯」ご入浴の前にはじめに全身をかけ湯で流してください。湯に体を慣らすとともに、汚れを落とします。…みたいな感じかな。
姉 First, rinse off your whole body with the warm water here. Get your body used to the warm bath, and pre-clean for the next soaking step.
  こんな感じかね。入浴に順序や作法や注意点があると思ってない人のためか。めんどくせえなあ。ほんとこういう時、日本みたいな「ハイ・コンテクスト」な社会は楽だ。とすると、「掛け湯」って書いただけでは理解できないだろう、ってこともわかるね。
  Step 1 - Rinse
  First, rinse off your whole body with the warm water here. Get your body used to the warm water, and pre-clean for the next soaking step.
姉 掛け湯の前に体を洗ってもらうのだろうか。だとするとこれはステップ1ではないな。まあさあ。コンテクストのないところでキーワードだけでわかってもらうのは無理よ。
私 いや、身体を洗う前にドボンしたい人がどうしても一定数いるので、せめてかけ湯をさせる、ということだ。先に洗い場に直行してくれるならかけ湯はいらん。
姉 むううう。
私 「KAKEYU」としか言えん。
姉 じゃあこうしよう。
  Step 1 - Rinse
  First, rinse off your whole body with the warm water here. Get your body used to the temperature, and pre-clean for the next step.
  次のステップが何かを書かないことにする。
  Kakeyuなんて日本語を覚えて意味があるのかなあ。Rinse off your whole body here first.一番短いとこれだな。  しかし目的等わからないことは誰もやらないだろうという気もする。
私 「日本ではこの行為を『KAKEYU』と言う。」を付け加えては?
姉 日本では、は不要だろう。明らかに日本語なんだから。
私 作法というものの存在を想像させる。日本はいらんが。日本人は、かな。特殊な民族の風習であることを。
姉 むー。いや、作法だというとうるさく感じるが、意味のある動作だと教えれば普通にやりたくなるだろう。マナーだマナーだって言われて嬉しい? 絶対ウゼエと思うよね
私 いや、日本人でもあんまり守られていないのが実態。
姉 えー。
私 これは日本人への啓蒙にも…

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