本日、この「日刊アクトパスNEWS」は創刊から3000号という節目を迎えることができました。
2016年1月26日に第1号を配信してから、約10年。
日曜祝日の休刊日を除き、毎日書き続けて気がつけばこの数字に辿り着いていました。
この日を迎えられたのは、毎日配信を心待ちにしてくださっている読者の皆様のおかげです。
温浴業界の皆様、そして業界の枠を超えてご愛読くださっているすべての読者の皆様に、執筆者一同、心より御礼申し上げます。
■ 第1号を、改めて読み返してみる
第1号は、2016年1月26日に弊社代表の望月が配信しました。
そこには、こんな一節があります。
「公開しているブログやFacebookと違い、本音レベルの情報をスピード重視で発信していきたいと考えております」
「これからよほどの多忙か病気でない限り、できるだけ毎日ニュースを発行していきたいと思っています」
このメルマガは、第1号から第1700号近くまでの約6年間は代表の望月がひとりで書き続けてきました。
執筆メンバーが加わり、複数人の視点で日替わりに発信する現在の形になったのは、2021年12月からです。
その後、新たな書き手が少しずつ増え、現在は5名の執筆者がそれぞれの専門領域や視点から、温浴ビジネスのテーマをお届けできる体制になっています。
■ 読者の皆様からいただいた声
これまで読者の皆様から、メルマガに対する様々なお声を頂戴してきました。
その一部を、ご紹介させていただきます。
「業界のみならず他業態までのトレンド、マーケティング、サウナ設備、集客、財務など、非常に多岐にわたる内容を毎日配信いただける読み物として有用です。自宅のお風呂でのんびり読んでいたら意外に切実な課題が記されていて、全然癒されないことがたまにあるので要注意です(笑)」
「日本中で500施設近くのサウナ・温浴施設を周りましたが、毎回新たな知識や視点を必ずいただけます。これが毎日配信というのが本当にすごい。日替わりで書き手が変わるのも、飽きがこないポイントです」
「温浴のあれこれを1日あたりチロルチョコ2つ分という破格のお値段です。チョコ代を節約してダイエットにもなるし勉強にもなる、お得です」
「やみくもに足を突っ込めるほど甘い世界はなく、それは温浴業界も同じ。情報源のひとつにアクトパスのメルマガを選んでいます。日刊で鮮度が良く、安い」
「『旬』と『本質』、どちらの情報も届く。毎日読めなくても、全てのメールに目を通しています。1万号目指して頑張ってください」
「このメルマガを通して、運営の仕事に関わるきっかけをいただいたと思っています」
「全く関係ない業界にいながらも、ビジネスの基本を常に感じ取っています。首がもげるほどうなずきながら読んでいます」
「立ち止まるきっかけを作ってくれます。皆が孤独になりながらもがいている中で、店舗運営や経営に必要な考え方を、改めて考えさせてくれる」
頂戴したお声を読み返していると、温浴業界は横のつながりが少ない中で貴重な情報源として活用してくださっている方、業界外からビジネスの本質を学ぶ材料にしてくださっている方、利用者の立場で「応援したくなる施設の見極め方」を読み取ってくださっている方など、本当に多様な読み方をしていただいていることが伝わってきました。
読者の皆様の存在の大きさを、改めて噛みしめています。
■ 約450万字、新書45冊分の歩み
3000号を通じて書き連ねてきた総文字数は、おおよそ450万字。
一般的な新書に換算すると、約45冊分の分量にあたります。
毎日の執筆は、単なる情報の出力ではありません。
頭の中で曖昧だった思考を言葉にすることで、知識が整理され、次に同じテーマを書くときには、もう一段階先まで考えられるようになります。
10年間、3000回にわたってこれを繰り返してきたことで、温浴ビジネスに関する経営ノウハウの引き出しが、少しずつ増えてきました。
もし、あの時に書き続ける決断をしていなかったら、今のような知見の蓄積はできていなかったかもしれません。
■ この10年で、温浴業界に起きたこと
メルマガで日々追いかけてきた業界の動きを振り返ると、この10年がいかに激動だったかが改めて見えてきます。
○2016年〜2019年:市場の成熟とサウナブームの萌芽
メルマガを開始した2016年は、温浴市場が2007年のピークから縮小傾向が続き、明るい展望が見えない時期でした。
生き残りをかけて、「おふろcafe」に代表される時間消費型施設や、付加価値を高めたリニューアル戦略が広がっていました。
その一方で、ドラマ「サ道」の放送や、情報サイト「サウナイキタイ」の登場により、一部の愛好家のものであったサウナが若い世代に広がり始めた時期でもあります。
長らく一部の施設にとどまっていたロウリュやアウフグースが、全国へ急速に普及していきました。
増加するインバウンド客への対応としてのタトゥー問題や、入浴マナー問題が議論されるようになったのも、この頃からです。
○2020年〜2022年:コロナ禍の直撃と小規模サウナの急増
新型コロナウイルスの蔓延は、温浴業界にも直撃しました。
休業や大幅な客数減という危機の中で、「黙浴」のルールが定着し、事前予約やキャッシュレス精算といったデジタル化が一気に加速しました。
そして、密を避けるニーズとサウナブームが重なり、個室サウナ、貸切サウナ、アウトドアサウナといった数十坪規模の「小規模サウナ業態」が全国で急増。
これまでの大型施設が主役だった業界構造に、新しい市場が加わった時期でした。
一方で、建築コストの異常な高騰、燃料費・電気代の上昇により、値上げや省エネといった収益構造の抜本的な見直しを迫られる施設が相次ぎました。
○2023年〜2025年:ポストコロナの多様化と本質回帰
コロナ禍が落ち着きを取り戻すと、サウナ目的の若い客層を中心に客数が回復していきました。
サウナの楽しみ方はさらに多様化し、ウィスキングの常設化、男女一緒に楽しめる水着混浴サウナ、薬草やハーブを用いたリトリートといった新しいスタイルが各地に広がっています。
消費者の知識やリテラシーが高まるにつれ、むやみに浴槽のバリエーションを増やすのではなく、源泉の個性を引き出す「温泉の純化」や、スタッフの接客といった「ソフトの力」が、施設選びの重要な基準になってきました。
その反面、異業種からの新規参入が相次ぐ中で、急ごしらえの施設による火災などの安全衛生リスクが業界全体に警鐘を鳴らしています。先人たちが積み上げてきた教訓を活かした安全管理の徹底が、これまで以上に重要になっています。
○2026年:選別が進む市場と、体験価値の時代へ
そして現在。サウナブームに支えられて市場規模は依然として成長基調にあるものの、追い風で誰がやっても集客できた時代は終わりを告げ、業界は「選ばれる施設とそうでない施設」に明確に二極化する選別のフェーズへと完全に移行しています。
建築コストの高騰を背景に、設備をより大きく豪華にしていく「ハード偏重」の投資モデルは限界を迎えました。
それに代わり、セラピストや熱波師といったプロフェッショナルなスタッフの「人間力」や、独自の「体験設計」で勝負するホスピタリティ産業への脱皮が求められるようになっています。
先人たちが積み上げてきた教訓を踏まえた安全衛生対策への真摯な取り組みも、単なるコストではなく「ブランド投資」として評価される時代になりました。
さらに集客面では、AIの進化による「ゼロクリック時代」の到来と、検索エンジンのルール激変が起きています。
まとめサイトなどの二次情報ではなく、公式サイトから発信される「現場の熱量がこもった一次情報」や、施設のリアルなスペック情報こそが、AIや検索エンジンに選ばれるための鍵を握るようになっています。
10年を通して見えてくるのは、温浴業界が「大規模・フルスペック・低価格」という均一化された競争から、「個性・高品質・ソフト力重視」の多様化へと、加速度的に変化しているという事実です。
時代の大きな波に翻弄されながらも、既存のセオリーを打ち破って新たな価値を創造する施設が、業界の活況を牽引してきました。
■ ハードからソフトへ、そして「人」の時代へ
先ほど触れた「選別の時代」「人間力」「体験設計」というキーワードは、これからの温浴経営の核心だと考えています。
最新の設備や豪華な内装は、資本さえあれば作ることができますし、時間の経過とともに必ず老朽化していきます。
ハードを主軸に据える経営は、常に次の投資を強いられる消耗戦になりがちです。
しかし、どれほど時代が変わっても変わらない本質があります。
人が服を脱ぎ、湯水や熱気・蒸気で身体を清め、温めることを楽しむ。
古代ローマや日本の湯治の時代から続くこの営みは、人が肉体を持つ存在である限り、なくなることはないでしょう。
そして、この本質的な価値を現場でお客様に届けるのは、他でもない「人」です。
AIやテクノロジーによる省力化が進む時代だからこそ、人にしかできない接客や、温かいコミュニケーションが、競合店との差別化になっていくのではないでしょうか。
行き届いた清掃、笑顔のある接客、お客様を熱狂させるアウフグース、身体の芯までほぐすトリートメント。
これらはすべて現場の「人」が生み出す価値であり、磨けば磨くほど施設のブランドへと育っていくはずです。
そして、磨き上げるべき「人」の価値は、施設ごとに異なります。
近隣他店との同質化競争に巻き込まれ、規模や価格を競う経営は、結果として全員を疲弊させてしまいます。
自店が元々持っている「独自固有の長所」を見つけ出し、それを徹底的に磨き上げること。
すべてにおいて一番になる必要はなく、自社の身の丈に合った領域で、特定の価値で地域一番、あるいは特定のファンにとっての一番店になること。
この「長所伸展」の経営こそが、これからの時代を生き抜く道だと考えています。
■ 3001号からも、変わらず
一見すると、コスト高騰や人手不足、競争の激化など、現在の温浴業界には強い向かい風が吹いているように見えるかもしれません。
しかし、温浴ビジネスの未来を悲観してはいません。
人と人との触れ合いが貴重になる時代だからこそ、現場の「人」が紡ぐ温浴体験の価値は、むしろこれから高まっていくのではないでしょうか。
明日迎える第3001号からも、姿勢は変えません。未来を切り拓く経営のヒントを、変わらぬ熱量でお届けしてまいります。
加えてこれからは、業界の最前線で挑戦されている方々との対談記事や、現場で活躍されている方へのインタビュー記事といった新しい企画にも、少しずつ取り組んでいきたいと考えています。
これまで以上に多様な視点と生きた声を、読者の皆様にお届けしてまいります。
「1万号目指して頑張ってください」と励ましてくださった読者の方の言葉が、執筆者一同の支えになっています。
このメルマガを今日まで読み続け、共に歩んでくださったすべての読者の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
また明日、いつものようにお会いしましょう。
(日刊アクトパスNEWS執筆者一同)
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