お風呂のチカラ（JAPANサウナ・スパEXPO講演録）

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お風呂のチカラ（JAPANサウナ・スパEXPO講演録）

東京ビッグサイトで行われるJAPANサウナ・スパEXPOは、毎年弊社がブースとセミナーのプロデュースを行っています。
今年はセミナー19講演が行われましたが、弊社スタッフが手分けしてすべて聞かせていただきました（うち2講座はアクトパスによるものですが）。

その中から、私が聴講した講義について少しずつお伝えしてまいります。

まずは、今回はじめてご登壇いただいたReborn.Rの渡辺愛さんによる、乳がん経験者のためのイベント「乙女温泉」について。

社会的意義が大きいイベントですので、参加できなかった皆様にもぜひ知っていただきたく、はじめに書かせていただきます。

ご登壇のきっかけは、「乙女温泉」を開催されたアクトパスクラブの会員様より事例をご紹介いただいたこと。
会員様の施設では、休館日を利用して開催し、参加者から大好評をいただいただけでなく、普段の日以上の収益もあげることができたそうです。

ご自身も乳がん経験者である渡辺愛さんはお名前の通り愛に溢れるパワフルな方で、がんという暗くなりそうなテーマを明るく楽しくお話いただきました。

https://www.instagram.com/otome_onsen/
https://ameblo.jp/reborn-r-ai/entry-12885629833.html?frm=theme

女性の9人に1人が乳がんになる時代、罹患しても70～80代まで普通に暮らしている方も多いとのこと。

とはいえ、傷口や脱毛などで大好きな大きなお風呂に入りにくくなってしまったという声が多く聞かれ、渡辺さんによると、平気で温浴施設に行けるのは相当にメンタルが強い人で、仮に周りの人は気にしていなかったとしても、自分が気にしてしまう方が多数派だそうです。

ある時、「気持ちいいことを我慢するのはもったいない」「３人でもいいから連れていらっしゃい」という温泉旅館の女将さんからご提案をいただき、一念発起。
イベントを立ち上げたところ、コロナ禍にもかかわらず30名様の申込をいただいたそうです。

ちなみに「乙女温泉」というイベントのネーミングは、ある温泉銭湯の女将さんによる「女性はいくつになっても乙女だからね」というお言葉からつけられたとのことです。

以来、50回もの開催を重ねている「乙女温泉」は、

・女湯男湯両方を使い、まず乳がん経験者とそうでない女性に分かれて入浴していただく
・入浴後、全員でランチタイム（乙女ランチ）
・最後に自己紹介タイム

という流れで開催されているそうです（その他、マッサージやヨガ教室、アヒル風呂など楽しい企画を用意する施設も）。

ポイントは、はじめにいきなり入浴すること。中には大浴場は何十年ぶりという方もいらっしゃるとのことですが、初対面の方同士であるにもかかわらず、浴室からはすぐに笑い声が聞こえてくるそうなのです。

「お風呂に入ればみんな友達」

というのが渡辺さんの言葉ですが、同じ境遇の方ばかりということで安心して入浴することができ、それまで隠れて大浴場に行っていたような方が「私はこんな感じ！」と傷口を見せ合うことができたりする。

共感し合える仲間ができ、自分自身を受け入れられるようになる、ということにつながっているそうです。

その後、美味しいお食事を一緒に食べて、楽しさ・おいしさを味わった後、自己紹介をする頃には、皆さんすっかりリラックス。泣いたり笑ったりしながら交流を深めることができ、イベント終了後もずっと立ち話をしている参加者の姿も多くみられるとのことでした。

渡辺さんは、会議室に集まって話をするようなスタイルの乳がん経験者によるイベントに参加した際、どこまで自己開示をすればよいのかわからず、参加者同士が打ち解けるのは難しいと感じたご経験があったそうです。

でも、一緒にお風呂に入れば、人との境界線が一気になくなり、みんな友達になれる。

ああ、お風呂のチカラはすごいものだな！と、拝聴していてあらためてじーんとなりました。

乙女温泉の開催には

・女湯男湯両方を開放していただくこと
・運営者に乳がん経験者がひとりは入っていただくこと
・入浴後に参加者が交流する時間とスペースをご提供いただくこと

が必要とのことですが、大変有意義な活動と思いますので、ご興味のある施設様はぜひ渡辺さんにご相談してみてください。

尚、ネーミングは「乙女温泉」ですが、温泉ではない施設様もＯＫとのことです！

ゆくゆくはどんな方でも気兼ねなく温浴施設や大浴場にいける社会になって欲しいとの渡辺さんの言葉に私も心から賛同し、微力ながらまずは乙女温泉を紹介させていただきました。

多くの温浴施設の皆様に届きますことを願っています。（望月啓子）

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