製図用のコンパスとボールペンが置かれた建築設計図面

2002年に発生したレジオネラ菌の集団感染事故(死者7名)を境に、全国の温浴施設における衛生管理のあり方は一変しました。

あの事故は、それまでの楽しさや気持ち良さを重視する考え方から、安全・衛生最優先へと保健所による指導内容も年々厳格化し、施設設計の方向性そのものに大きな影響を与えることになった歴史的な転換点だったといえます。

事故以降、湯の衛生管理に関する基準は大幅に見直されました。

具体的には、
・塩素濃度の常時管理の徹底
・より高濃度での塩素管理(0.2ppm~0.4ppmの範囲だったのが0.4ppm以上へ)
・飛沫抑制の観点から、打たせ湯、水面より上からの補給水、気泡発生装置など禁止
・オーバーフロー水の回収循環禁止

などが代表的な項目です。これらの制約により、動きのある湯や浴槽バリエーションを作りにくくなり、浴場空間の多様性は徐々に失われつつあります。

さらに最近では、「濾過循環方式であっても、毎日全換水を求める」保健所の指導例も出てきています。設備の大型化や水光熱費の高騰から、経営側の負担は決して小さくありません。しかし、人命に関わる安全衛生の分野においては、規制が緩むことは基本的になく、厳しくなる一方というのが現実です。

ただし、すべての規制が一律に厳格化していくわけではありません。

安全衛生と直接関係のない分野では、社会の実態や多様なニーズに合わせて、徐々に柔軟化が見られます。

たとえば…


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