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今日は 2022年4月16日です。
土曜日は編集局はお休みなので、再び望月が配信いたします。
■注目の業界ニュース
・【AUFGUSS CHANPIONSHIP JAPAN】7月5日〜9日スカイスパYOKOHAMA」にて開催(SAUNA・SPA新聞3月号)
https://www.sauna.or.jp/sauna_news/back_number/pdf_files/2011-2030/newspaper497.pdf
サウナイキタイとグレイトフル・デッド
読者の皆様、はじめまして。渡部と申します。
昨年よりアクトパスのメンバーとなり、新規事業とDXを担当しております。
温浴業界とは畑違いの音楽業界出身ですが、元々サウナが好きでよく通っていました。
そんな私ならではの観点で、皆さんご存知の「サウナイキタイ」について書いてみたいと思います。
このサイトが全国のサウナユーザーとの情報共有により着々と充実・進化していく様に感銘を受けつつ、私の中でイメージが重なるようになったのが、アメリカのロックバンド、グレイトフル・デッド(以下デッド)です。
65年に結成され、95年解散後も世界中で支持され続けているこのバンドにはビーチボーイズやイーグルスのような誰でも知っているヒット曲がありません。関わりのない人にとっては掴みどころがないバンドだと思います。
では、ファン("デットヘッズ″と呼ばれます)は何に魅了されたのか。
デッドが普通のバンドと違ったのは、レコードを売ることより、生演奏に注力した点です。
いわゆる「ライブ」はレコード(CD)を売るためのプロモーション活動・ファンサービス、というのが00年代までの業界の常識でした。
しかし、デッドは60年代からの継続的なライブツアーの収益で、ビジネス的にも大きな成功をおさめました。
「サウナイキタイと何の関係があるのか?」と思われるかもしれませんが、最後につながりますのでもう少々お付き合いください。
ツアーではたくさんのデッドヘッズ達が各会場について回り、街から街へ大移動します。
彼らは繰り返し見る同じバンドのライブに何を求めるのでしょうか?
それは、都度違うライブの演奏なのです。
選曲やアレンジは全く違うし、何より即興演奏が真骨頂。予定調和の無いスリリングな演奏により演者と聴衆が一体となり、会場はある種トリップ状態に。デッドヘッズはこの体験を求めて、ツアーに参加するわけです。
そして、何とライブでの録音を認めました。会場に録音専用の区画を設け、本格的な機材を持ち込む人たちも出現しました。
彼らはテーパーと呼ばれ、録った音源(カセットテープ)をテーパー同士でトレード、共有します(販売は禁止)。
そのコピーはバンドの音楽を広めるツールとなり、共有の輪はさらに広がり、ライブ会場も次第に規模が大きくなっていきます。
デッドは著作権を開放し、彼らの音楽はみんなの音楽となったのです。
バンドからすると聴衆と作り上げた音源は皆んなのもの、という考え方だったのかもしれませんが、権利の国アメリカでこれをやってのけたことは、大変なことです。
(実はスタジオ録音のアルバムもかなりの枚数を売り上げていますが、無料で出回っていたライブ音源が良い宣伝になっていたという見方もあります)
デッドの活動は共有とそのコミュニティ形成の上にあります。
共通の楽しみを満たすため、人が集まり、皆の持つ情報が輪を広げていく、進化していく。誰かの為でなくみんなの為に。
サウナイキタイが今行っていることが、グレイトフル・デッド&デッドヘッズと近いモチベーションにあることを感じていただけましたでしょうか?
デッドヘッズは当初はヒッピーが中心でしたが、長い活動を通じて広がりを見せていき、年齢や肩書も関係ない、多様性を見せていきます。
スティーブ・ジョブズも元ヒッピーでテッドヘッズであることは有名な話です。
また、バンドも全く異なる素養のメンバーが揃ったからこそ、音楽に多様性がもたらされ、演奏もビジネスも実に自由でした。
サウナイキタイも同じでしょう。
匿名のアカウントの裏にはサウナ好きと、様々な得意分野を持った運営者がいて、そこには損得のないフラットなコミュニケーションがあります。
このフラットさが信頼につながり、コミュニティの拡大に大きく影響していることは間違いありません。
皆が幸せになる方法を理念だけでなく、合理的に考えることは、ある意味、現代的な思想だと思います。
私にとってサウナイキタイはその象徴で、今後どうやって進化し、皆の楽しみに肉付けしていくのか、サウナを楽しみながら見届けていきたいです。
もしかすると…
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