サウナ室内壁面に設置された非常用押しボタンとドア下部に隙間のある出入口構造が写っています。

サウナの事故リスク・どうすれば防げるのか(2)

年末の温浴業界に激震が走った東京・赤坂のサウナ事故。悲しい出来事を再び繰り返さないためには、原因を究明し、その対策を講じることが必要です。

元々サウナには火災をはじめとするリスクがあり、安全性を高めるために様々な法規制や業界の自主基準も存在していますが、あらためてより安全なサウナにするためにはどうしたら良いでしょう。

前回記事「サウナの事故リスク・どうすれば防げるのか(1)」では、
【1】ドアにラッチを使用しない
【2】もうひとつの脱出方法
【3】非常ボタン設置と点検義務
【4】非常ボタンを押すとストーブが止まるように

といったことを書きました。

今回の事故は、ドアノブの故障による閉じ込めだけでなく、非常ボタンが作動しなかったこと、目の届きにくい個室の中の出来事であったことなど、いくつもの問題が重なって事故が起きてしまいました。ひとつの安全対策は、ひとつの不測の事態によって崩れ去りますので、安全性を高めるためには何重にも対策を施すことが求められますので、さらに対策を考えてみます。

【5】ドア下に隙間を空ける

潜在的に火災リスクを抱えるサウナに対して、日本の消防では「防火区画」といって、万一サウナ室で火災が発生した時に炎や煙が他の部屋へ広がるのを防ぐため、サウナ室を耐火性能のある壁や床で区切るという考え方があります。

これは有名な「有楽サウナ火災(1968年)」をはじめとする過去のサウナ火災からの教訓として生まれたものですが、サウナ室の壁や床、開口部などに防火措置を施し、火事になっても簡単に延焼することがない構造にするよう指導されています。

その結果、サウナ室のドアにも耐火性能と常時閉まるようにすることが求められているのです。これはサウナ室の熱気を逃がさず、効率的に温めるという点でも有効な方法ですが、これは日本の独特な規制のようです。

一方、ヨーロッパなどではサウナドアの下に10センチほどの隙間が空いている作りをよく見かけます。日本のサウナ室を見慣れている人にはちょっと驚きがありますが、ヨーロッパのサウナはサウナ室の熱気と水蒸気、そしてストーブやサウナストーンからの輻射熱と部屋全体の蓄熱という複合的な熱を感じられる作りになっているので、熱気を封じ込めることもよりも換気によって快適に呼吸できることを重視しています。実際床に近いところの空気の温度は、サウナの体感温度とはあまり関係がないのです。

この認識の違いは、どちらが正しいと一概に言えるものではありませんが…


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