
空間的な制約があってアウフグースが難しいサウナ室でも見事な演舞を披露してくれた五塔熱子さん。
その姿を見ていて、「ハード勝負ではもはや事業性が確保できない時代、いよいよこれからの温浴ビジネスは人のチカラが決め手になる」と確信したわけですが、このことをもう少し掘り下げてみたいと思います。
いま温浴施設の建築工事費は高騰を続けており、セオリー通りにプランニングしても坪単価は200万円超えどころか、坪300万円を上回ってしまう可能性もあるという時代です。
ほんの20年前、うまくローコスト化の工夫すれば坪100万円くらいで温浴施設が作れた時代から比較すると、3倍という信じられないほどの高騰ぶり。
これは大袈裟な話でも何でもなく、事実です。
ここ数年弊社が関与した案件でも実際にそういった工事費見積りが出てきて、VEをしてもたいして下がらず、結局予算に合わせてプランを縮小したりグレードダウンを余儀なくされるという憂き目に遭っています。
事業採算性を度外視できるなら別ですが、夢のあるプランを思い通りに作れるような時代ではないのです。
昨今のサウナブームの到来で温浴ユーザーの成熟化が進んだことにより、浴槽への投資を抑えながらサウナ強化でなんとか施設の魅力を保つようにはしてきましたが、それでもサウナの温度やデザインにバリエーションを持たせたり、水風呂の温度や深さで差別化を図ろうなどとやっていると、結局どんどんコストが膨らんでしまうのです。
設備スペックやデザインで魅力的なハードを作ることには限界があり、どうしてもコストを抑えたハードにならざるを得ないとしたら、どうやって他店と差別化し、お客様を集客して満足していただくのか。
考えるまでもないことですが、答えは…
注目の業界ニュース
【温泉文化を世界へ ユネスコ登録と湯道】
https://www.travelvoice.jp/20250826-158050
全旅連は温泉文化を2028年にユネスコ無形文化遺産へ登録する活動を推進。小山薫堂氏は「湯道」を提唱し、入浴を茶道のように文化芸術と結び付ける価値を紹介。北出恭子氏は「現代湯治」や学術調査を通じて温泉の効用を可視化し、地域連携を強調しました。
温泉を「文化」として発信し、地域や施設にストーリー性をもたせることは、共感や選ばれる理由づくりにつながりそうです。