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今日は 2022年1月21日です。
◆サウナブームを失速させない
2022年も衰える気配を見せないサウナブーム。
業界の希望の星であるこのブームを失速させないためにも、短命で終わった岩盤浴ブームのことを振り返ってみたいと思います。
(1)岩盤浴ブームが短命で終わった理由
2000年初頭から急激なブームとなった岩盤浴。当時の情報サイトによれば、わずか数年のうちに全国で2,000件以上にまで増加していました。
しかし、岩盤浴に特化した小規模専門店はほとんど姿を消してしまいました。今も健在なのは温浴施設に併設された岩盤浴やチムジルバンだけです。
ブーム失速の原因となったのは、週刊誌の岩盤浴バッシング報道でした。突然「岩盤浴には細菌・カビがウヨウヨ」「不衛生で危険」といった論調で、加熱する岩盤浴人気に警鐘を鳴らしたのです。
せっかく発展している温浴マーケットに水を差すのかと、当時は憤り、ブログで「じゃあ道端に寝っころがってる酔っ払いはどうなるんだ。」「そんなことを言い出したら、公園のベンチも電車の吊り革も不衛生極まりないぞ!」と吠えていたものですが、そんな抵抗も虚しくブームは一気に冷め、経営基盤の脆い小規模専門店は次々と廃業していきました。
今考えてみると、ブーム失速の直接の原因がバッシング報道であったのは確かですが、それで吹き飛んでしまう事業者側に、本当の原因があったのではないかと思うようになりました。
岩盤浴専門店がバッシングにさらされた理由は主に3つです。
ひとつは、業界として岩盤浴衛生管理の基準が確立しておらず、消毒や清掃の方法は個別事業者の判断に委ねられていたということです。店舗によっては実際に管理不十分だった可能性も否定できない状況でした。
もうひとつは、エビデンスが不十分なところで勝負をしようとしすぎたことです。
「稀少な○○石を使用」といったキャッチコピーで、特殊な鉱石から出るマイナスイオンや遠赤外線やミネラルが云々かんぬん…といった似非科学的な解説を強調して岩盤浴信仰を作り出し、価値を実際以上に大きく見せ、集客力や収益性を高めようとする施設が多くみられました。
エビデンスが不十分な世界で勝負をかけたら、いずれ叩かれるのは目に見えています。
岩盤浴なら熱さに弱い人でもじっくり長時間かけて身体を芯まで温めることができ、普段は見たこともないような大量発汗し、着衣のため誰もが気兼ねなく人と一緒に入浴できるし、男女混浴も可能。
そういった要素だけでそれまでの温浴設備にはない魅力であり、充分な存在価値があったのです。
にもかかわらず、無理に価値を高めようとし過ぎてしまったことがブームを短命に終わらせた一因でしょう。
もうひとつは、業界の横のつながりがなかったことです。急激に新規参入事業者が増えたため、それぞれが一匹狼で、衛生管理基準や景品表示法に則ったガイドラインといった自主規制的な動きはほとんどできていなかったと思います。団結して風評に抵抗する術も持たず、叩かれる一方となってしまったのです。
(2)サウナブームと岩盤浴ブーム
さて、ここで昨今のサウナブームと岩盤浴ブームを重ねてみると、共通点があることが気になります。
衛生管理基準が未確立で、不衛生と叩かれた岩盤浴。電気ストーブとガスストーブしか設置基準がなく、薪ストーブの設置や運用に関する知見が共有できていないサウナ。
ブームに乗ってエビデンスが不十分な世界で無理な背伸びをし、高客単価を求めた岩盤浴。ブームの最先端部分だけをうまくキャッチして強気な料金を設定しているサウナイベントや新興施設。
横のつながりが希薄なのは温浴業界共通の課題で、今日に始まったことではありませんが、新規参入したばかりの事業者は、どこにも属さず個別のお付き合いのみ、というところが多いのではないでしょうか。
こう考えると、もし何らかの理由でどこかの施設に逆風が吹けば、サウナブーム全体も決して無事ではいられない可能性があるということです。
そうならないためにも、温浴施設経営やサウナ運営の基礎知識を共有することや、既存温浴施設も含めた業界全体のつながりを強化していくことが急務であると考えています。
(3)同じ轍は踏みたくない
岩盤浴は、わずか数年で2,000店舗という急成長を見せました。昨年からはじまった小規模サウナ開業ラッシュですが、件数で考えればまだ全国で100施設にも到達していませんから、おそらくこれからもっと急増していくのだろうと思います。
前回の記事でお知らせした「サウナ開業塾」は、岩盤浴と同じ轍を踏まないよう、私どもなりにできることとして考えました。
ブーム失速の歴史を知るひとりとして、今回はブログで吠えているだけで終わらず、業界の繁栄に貢献したいと気持ちをあらたにしております。
新しい温浴施設の出現は、近隣だけを見れば競合店=ライバルの増加となりますが、視野を大きく広げてみれば、地域の温浴ファンの増加、広域連携によるサ旅の訴求、業界全体の繁栄と活性化につながります。
「歓迎すべき仲間が増える」と捉え、互いに切磋琢磨していく発想を持つと、業界の可能性もさらに広がっていくと信じています。
(望月)
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