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今日は 2022年2月24日です。
サウナベンチの思い出
2013年に北陸地方で、ある老朽化したビジネスホテルの大浴場改修のお手伝いをしました。
大浴場はビジネスホテルとしては規模が大きく、日帰り入浴にも一応対応していたのですが、周辺にはスーパー銭湯や天然温泉施設がいくつも存在しており、温浴施設としてはどう見ても4番店以下のポジション。
特徴といえば漢方薬湯と、ドライサウナとスチームサウナがあったことくらいでした。
コストはできるだけ抑えたいということだったので、老朽化している温浴設備にはほとんど手を付けることができません。
限られた予算の範囲でもできそうなことと言えば、表装替えで見た目をキレイにすることと、サウナ環境強化でした。
ビジネスホテルは、大浴場の魅力を高めることで、稼働率も客室単価もアップするのは何度も経験していましたので、サウナ環境強化に予算を集中配分することにしたのです。
露天風呂はなかったのですが、大浴場の空きスペースの一部を囲って外気を導入する部屋を無理矢理作り、ドライサウナだけは全面的に改修し、ロウリュできるストーブを導入することになりました。
当時はまだロウリュという言葉もあまり知られていなかった時代でしたが、そんな大浴場があると分かればサウナ好きな宿泊客はもちろん、地元サウナファンも反応してくれるだろうと考えたのです。
こだわりのサウナで勝負するということがリニューアルの基本方針になりましたので、普段はできないレベルまで細部の品質を追求しようということになり、ベンチ板の面取りについてサウナ設備業者さんに相談しました。
私「サウナのベンチ板の角を丸めたいんですが、できますか?」
業「板は工場でプレカットするから、指定すればできるよ」
私「費用はだいぶ上がっちゃうんですか?」
業「機械でカットするだけだから、そんなに変わらないよ」
このやりとりをした時に思ったのは、そんなに変わらないならどうしていつもやってくれないんだ、ということです。板の面取りをした方が肌へのあたりが優しいし、見た目的にも配慮が感じられて好感度がアップするのは誰にでも分かりそうな事なのに、たったそれだけのことをどうしてやろうとしないのでしょう。
理由は単純で、それまで誰もそれを要求しなかったからだろうと思います。
しかし、このプロジェクトはサウナ環境強化が基本方針になっていましたので、その要求は通りました。
他にも細かいこだわりを投入して、なかなかのサウナ室が出来上がりました。その後じわじわとサウナ客の評判も獲得していったのですが、結局浴槽設備の方がダメになってしまい、莫大な修繕費用がかかることも考えて、リニューアルから6年後にそのホテルは閉店してしまいました。
あと2年くらい持ちこたえてくれれば…
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