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サウナはすでに文化である

「サウナをブームから文化へ」。これまで何度となく目にしたこのフレーズ。

なぜブームではなく文化になることを求めるのか?そしてサウナはまだ文化ではないのか?について考えました。

多くの方がそうだと思いますが、明け方の浅い睡眠の時に見る夢を憶えていることがあります。昨日は「サウナと方言は似ている」という気づきと共に目が覚めました。

Windowsのデフラグのように、眠っている間に気になっていることや断片的な記憶が整理され、考えがまとまったり新たな気づきを得るのだろうと思っています。

サウナと方言と言っても何のことか分からないかも知れませんが、「日本のサウナの入浴スタイルには地域性がある」と気づいたのです。

例えば、以前メルマガ第882号「庄内スタイル」(2019年1月30日配信)で紹介した山形県の庄内地方のサウナに見られる「ビート板サウナマット+汗拭き取り用ミニタオル」。ユーザーの入浴スタイルというより、温浴施設の支配人同士の情報交換によって拡がったものですが、自分が流した汗はサウナ内に設置されたミニタオルを使って拭き取ってから出て行くというマナーが定着しています。

2019年当時と比べると、最近はサウナマットにビート板を採用する施設は飛躍的に増えました。ビート板は汗を吸収しないので、こぼれた汗でベンチを汚さないよう、サウナ室内に汗拭き取り用タオルを設置するというのはなかなか合理的で良い考えだと思うのですが、庄内地方から外には拡がっていかないようです。

庄内地方というのは、山形県北西部の日本海側に位置する平野部で、庄内米が有名ですが、主に稲作を中心に農業がさかんな地域で、30万余の人々が生活しています。鳥海山や月山などに囲まれていて、東京から行くにはどの交通手段でもちょっと時間がかかる不便な場所です。

方言は庄内弁と言って、山形弁の中でもさらに独特の訛があります。仕事でお邪魔した公共温浴施設の支配人と市役所の担当課長が言い合いしている時は、まったく言っていることが聞き取れず驚きました。

狭い日本ですが、地理的要因などで生活圏が異なると、言葉は容易には伝播しません。メディアが発達した情報化社会にあって不思議な感じもしますが、地域性というのは色濃く残るものなのです。

こうした言葉の伝播については柳田国男が「方言周圏論」として提唱するなど、文化人類学・民俗学として研究されています。サウナのマナーの違いもそれと同じではないか、と気づいたのです。

そう考えると、例えばサウナパンツは関西弁です。ニュージャパンサウナや大東洋が採用し、以前の日本サウナ協会でも推奨品としてサウナパンツの普及を後押ししていましたが、関西地方以外ではウェルビー系などを除き、サウナ日本やサウナサンなど一部の施設でしか見かけません。

そもそもフィンランドやドイツなどのサウナ先進国にはサウナマット(マイマットではなくベンチの上に敷いてあるもの)というものが基本的にありません。サウナマットは「湯」という入浴スタイルと両立させるために生まれた日本独自の文化なのだと思います。

ドイツやチェコでは大判バスタオルを持ち込み、サウナベンチに身体が触れないようにする文化がありますが、日本では浴室内にバスタオルは持ち込まず、手拭い一本で入浴するのが普通です。

濡れた身体でサウナに入るため、サウナ室が水浸しになるのを防ぐためにサウナマットが使われるようになったのが日本式なのです。

そう。日本において、サウナとはすでに文化に他ならないのです。

ではなぜ「サウナをブームから文化へ」と言われ続けているのでしょうか。

それは、もっと噛み砕いて表現すると「このサウナの活況が一過性のものであって欲しくない、定着して進化発展を続けて欲しい」という願いが込められた言葉なのだと思います。

サウナブームとは、サウナを設置している施設数が拡大している期間であり、サウナにまつわる言葉や習慣が伝達・共感されることでサウナに興味を抱く人がさらに増えていく状態のことを指している気がします。

ひとりのユーザーの立場で考えると、
・お気に入りのサウナの選択肢が増える
・一緒にサウナに行ったり、サウナについて共感しあえる仲間が増える
・行きつけのサウナ施設の経営状態が良好で、さらに良い方向に進化していく

といったことであり、その逆の状態になることを想像すれば、一過性のブームで終わるのではなく、ずっと続いて欲しいと願うのは自然なことでしょう。

その願いに応えられるかどうかは、サウナに携わる事業者・一人ひとりのお客様の行動にかかっていると思います。
(望月 義尚)

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