10年後の温浴ビジネス(6)-1
未来の温浴ビジネスはどうなっていくのだろう。人口減少という抗い難い大きな流れの中で、温浴施設はどうやって生き残るのかということを考えるシリーズですが、ここまでは主にマーケティングと運営面の話でした。
今回はハード面での変化について考えていることをお伝えしたいと思います。
施設のつくり、特に浴室に関してですが、すでにその変化は起き始めています。
その流れのひとつは、これまで何度もお伝えしてきた「温泉の純化」です。
掘削技術の進歩によって、かつては遠くの温泉地にしかない憧れの存在だった温泉が身近になりました。
さらに濾過循環と衛生管理技術の進歩によって、それほど大量湧出でない源泉でも大きな浴槽で安価に温泉を楽しむことができるようになりました。
結果的に温泉の神秘性やありがたみは薄れ、「天然温泉」の四文字はかつてのような金看板ではなくなり、温浴施設に温泉があるのが当たり前のように受け止められるようになってしまった、というのが日本の温泉の現在地だと考えています。
しかし、火山国として古くから自然に存在していた温泉を愛で、大切に扱ってきた日本人のDNAは、「求めていたのはこれじゃなかった」ということに気づき始めます。安全清潔でありつつ、本来の泉質が損なわれていない本物の温泉と、濾過循環・加水・殺菌消毒された湯の違いです。
その最先端を行くのが、源泉に人為的な手が加わることを一切認めない源泉かけ流し至上主義。
映画「湯道」では、温泉評論家の太田与一が、「循環式は断固拒否。温泉を提供していない銭湯が屋号に温泉を使ってはならない」など、排他的な原理主義の人物として描かれていますが、現実にもそのような考えの人は一定数いることでしょう。
そこまで過激でないにしても、濾過循環よりも源泉かけ流しの方が良さそう、というイメージを持っている人は多いと思います。
しかし、物事はそう単純ではありません…
---------
この記事は会員限定公開となっており、全文は表示されておりません。
メールマガジン「日刊アクトパスNEWS」をご購読いただくと、毎日全文がメールで届きます。
メールマガジンご購読のご案内はコチラです。
注目の業界ニュース
【GWの旅行予約復調】
https://forbesjapan.com/articles/detail/62306?read_more=1
近畿日本ツーリスト/クラブツーリズムがGWの国内・海外旅行動向を発表。旅行者数は、昨年同時期と比較して2.5倍という大幅な回復傾向が見られるとのことです。
プレミアム・ゴールド・プラチナ会員様が参加できるアクトパス跳会議の第3回目は、合同会社FRONTLINE代表の前好光氏をお招きし、観光のプロの目線から、温浴施設のインバウンド対策について熱く語り尽くしていただきます。こちらもぜひ。