アロマ蒸留とサウナストーブへの応用の可能性

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温浴施設で日常的に使用されるアロマオイル。その製造方法や自家製作の可能性に興味を持っていたところ、埼玉のとあるハーブ園でアロマオイル精製体験イベントが開催されるという情報をキャッチしたので参加してきました。

今回は最も伝統的で一般的な「水蒸気蒸留法」というアロマ抽出法を体験してきました。

水蒸気蒸留法による抽出手順は以下の通りです。

植物材料を蒸留釜に投入する。
釜の下部に水を注ぎ、加熱して水蒸気を発生させる。
高温の水蒸気が植物材料を通過する際、芳香成分を蒸発させる。
芳香成分を含んだ水蒸気が冷却管を通過し、液化する。
冷却された液体（アロマ水）は、「エッセンシャルオイル」と「フローラルウォーター」の2層に分離する。（ドレッシングのようなイメージ）
上層の精油を回収する。

冷却管は冷却水で満たされた冷却槽内で渦を巻くかたちで配置されていますが、これは蒸気と冷却水の接触面積を増やすことで熱交換効率を高め、均一で効率的な冷却を可能にするための工夫だそうです。

また、冷却水が温まってくると、下部から冷水を注入し、上部の排水口から温水を排出して水を入れ替えられる構造になっていました。

今回の蒸留体験は、月桃という植物を約30gと水500mlを蒸留釜に入れてスタート。熱を加えてから20分くらい経ったところで、冷却管からジョボジョボと水とオイルが混ざった芳香蒸留水が流れ始めました。
一度出ると安定したペースで続き、さらに4-50分ほどで100mlくらい溜まりました。

ビーカーを観てみると、アロマオイルは上澄みに薄く浮かんでいましたが、その量は極めて微量。一見したところ0.1mlもなさそうです。

原料にもよると思いますが、一定量のオイルを手に入れるために、想像していたよりも何十倍も手間と時間がかかることを実感し、天然アロマオイルが少量ながら高値がつく理由が納得できました。

その後は採取した芳香蒸留水でボディージェルを作りましたが、その間、温浴施設への応用について考えていました。

現状、この仕組みに近いサウナは、蒸気口の上に薬草が設置されている「薬草スチームサウナ」でしょう。

蒸気が薬草を通過することで匂いが室内に充満する構造で、私が最近行ったところでは仙台のスパメッツァさんや、水戸のゆるうむさんなどにありました。

シンプルな構造ですが、蒸気を通過してからダイレクトに部屋に流れるため、香りの持続性と均一性という点で課題があるように感じています。

そこで思いついたのが、サウナストーブの熱を熱源とする「サウナストーブアロマ精製装置」です。

高温になるストーブ上に蒸留精製装置を設置し、精製されたアロマ水が一定量溜まるとサウナストーブに流れて自動的にロウリュされる仕組みです。

これであれば香りの持続性と均一性を保てそうです。

ただし、冷却装置がサウナ室内にあると、冷却水が温まりやすく上手く機能しない可能性が高いので、その設備に関してはサウナ室の外に逃す必要がありそうです。

この妄想装置では、オペレーションの煩雑性を避けるため、精油を抽出することは考慮していませんが、アロマ水を一度溜め、下部から芳香蒸留水だけ流れるような仕組みにし、一定量溜まった段階で上部の精油を回収することも構造上はできなくはなさそうです。

もし精油が取れれば、浴槽やリラクゼーションでの活用、自家製化粧品や香水の商品化など付帯収入の獲得に繋がる可能性も感じます。

ただし、安全性や資源が多量に必要な点、日々のメンテナンスやオペレーション、開発コストや労力も考えると実現には時間がかかるかも知れませんが、仕組みはシンプルですので、最初にサウナ室環境を作る段階から狙っていれば、できないことではなさそうです。

ユニークな施設を作り出すためには、すべてをメーカーや設計士任せにするのではなく、施主自らがこだわりや夢を持つことが大切、と妄想が広がった1日でした。
（ハラダ）

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